何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)

『サピエンス全史』は神話、国家、金銭、銀行、企業、この世の様々な制度など、我々が自明の存在だと思っているものを、存在しない想像の産物であるという観点から論じている。にもかかわらず、これは「歴史」として読める。原題は「Sapiens」だけだが、副題に A Brief History of Humankindとある。ということは、歴史とは共同的想像である、と言っていることは明白だ。
『時の声』は今の新型コロナ状況と似ているところがある。宇宙の変化によって「麻酔性昏睡症候群」が増え、人がほとんどの時間眠るようになっているのだ。研究者たちはあらゆる手を打っているが、遺伝子への刺激も人類の延命の手立てにはならない。宇宙全体が死滅に向かっているからである。そのような生の歴史と死への道筋に直面する私たちが人間の状況に明確に目覚めるにはどうしたらよいのか。
その手立てを伝えているのが『正法眼蔵』である。国家の基盤を信頼したいが、そうしていいのであろうか。先々の自分の生とその基盤である社会や国家は本当に確かなものなのだろうか? そうした不安を克服する唯一の方法は坐禅である、と『正法眼蔵』は言う。これは確かに、やった者にしかわからない。
成長神話のもとで時間に追われるのが当たり前だと思っているあなた。前にのめるその姿勢は、坐禅の中で矯正されるだろう。今ここにいるそのことの価値こそ多くの人が知るべきなのだ、と道元は書いた。この3冊を見比べ実践すれば、時にとらわれているあなたは自由になる。
●3冊の本:
『正法眼蔵』道元/永平寺
『サピエンス全史』ユヴァル・ノア・ハラリ/河出書房新社
『時の声』J.G.バラード/東京創元社
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金 宗 代 QUIM JONG DAE
編集的先達:宮崎滔天
最年少《典離》以来、幻のNARASIA3、近大DONDEN、多読ジム、KADOKAWAエディットタウンと数々のプロジェクトを牽引。先鋭的な編集センスをもつエディスト副編集長。
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コメント
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2025-10-02
何の前触れもなく突如、虚空に出現する「月人」たち。その姿は涅槃来迎図を思わせるが、その振る舞いは破壊神そのもの。不定期に現れる、この”使徒襲来”に立ち向かうのは28体の宝石たち…。
『虫と歌』『25時のバカンス』などで目利きのマンガ読みたちをうならせた市川春子が王道バトルもの(?)を描いてみたら、とんでもないことになってしまった!
作者自らが手掛けたホログラム装丁があまりにも美しい。写真ではちょっとわかりにくいか。ぜひ現物を手に取ってほしい。
(市川春子『宝石の国』講談社)
2025-09-30
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